自立訓練(生活訓練)事業所と就労移行支援事業所の違いとは?
生活訓練の基本理解
自立訓練(生活訓練)は、障がいのある人が日常生活や社会生活において自立した生活が送れるようサポートするための事業です。個々のニーズに応じたスキルの向上を目指し、暮らしの基盤を整えることを重視しています。具体的には、生活スキルアップやコミュニケーションの向上、自分自身を理解し助けるための手段を学ぶことを含みます。期間は基本的に2年間で、居心地の良い環境で個々のペースに合わせた自身のやってみたいことへの選択肢を提供します。自分らしい生活を実現するための一歩を踏み出す支援を行っています。
■実施されている主なプログラム(一例)
①生活能力の維持・向上を目的としたプログラム
・運動系プログラム(ウォーキング、スポーツ、ヨガなど)
・ストレスケアプログラム(ヨガやマインドフルネスなど)
・食事や睡眠について学ぶ座学プログラム
②自己管理能力の向上や自己理解を深めることを目的としたプログラム
・障害理解のプログラム
・金銭管理や生活能力の向上を行うためのプログラム
・障害特性の説明を行いやすくするためのプログラム
・服薬管理の方法を考えるプログラム
・セルフケアの方法を学ぶプログラム
・認知行動療法に基づく心理系プログラム
③社会交流や、地域生活を目的としたプログラム
・様々な作業にトライしてみるプログラム
・コミュニケーションを学ぶプログラム
・ライフハックを学ぶプログラム
・地域の社会資源を調べ活用するプログラム
就労移行支援とは
就労移行支援とは、障がいのある方が一般企業への就職を目指す際に必要なサポートを提供する福祉サービスです。具体的には、就職活動の方法や職場で求められるスキルの習得支援、職場実習などを通じて、利用者が自信を持って働ける環境を整えます。このプログラムは、就労に向けた具体的な計画を提案し、個々のニーズに応じたサポートを行うことで、安定した職場定着を目指します。また、企業との橋渡し役を果たすことで、雇用機会の創出にも貢献しています。就労移行支援は、働く意欲がある方に対し、社会参加を促進し、自身の力で未来を切り拓くための大切なステップとなります。
■実施されている主なプログラム(一例)
➀生活能力の維持・向上を目的としたプログラム
・ストレスケアプログラム(ヨガやマインドフルネスなど)
・食事や睡眠について学ぶ座学プログラム
➁働くための自己管理能力の向上や自己理解を深めることを目的としたプログラム
・障害理解のプログラム
・障害特性の説明を行いやすくするためのプログラム
・セルフケアの方法を学ぶプログラム
・認知行動療法に基づく心理系プログラム
➂就職活動に向けたプログラム
・ビジネスマナープログラム
・模擬職場や模擬面接など就労を想定したコミュニケーションプログラム
・PCスキルトレーニングプログラム
・企業研究の方法に関するプログラム
上記に加え、
・職場見学や職場体験実習
・面接会参加
・履歴書・職務経歴書の添削
などの就労支援サポートを受けることも可能です
生活訓練と就労移行の違い
生活訓練と就労移行支援は、目指すゴールや提供内容で異なります。生活訓練は、障がいのある方が日常生活や社会生活を自立して送るための基礎スキルを向上させることを目的としています。これは、自己理解やコミュニケーション能力の向上を通じて、自分らしい暮らしの第一歩をサポートするものです。一方、就労移行支援は、具体的な職場への就労を実現するための支援を行います。職場適応訓練や面接対策、履歴書の作成支援など、実際の就業に向けた準備を手助けします。どちらも障がいのある方の自立を支援しますが、そのフォーカスが異なるため、個々のニーズに応じて選択することが重要です。
あなたに最適な選択
自立訓練(生活訓練)の利用対象が主に「地域生活を営む上で必要な生活能力の維持・向上を目指す方」「自立した社会生活を送るための訓練が必要な方」と想定されているのに対して、就労移行支援の利用対象は主に「就労を希望している障害のある方」と想定されています。
社会生活の中には就労や復職に向けた準備も含まれるため自立訓練(生活訓練)と就労移行支援とは重なる部分もありますが、自立訓練(生活訓練)では就労移行支援と比べて幅広い利用者を想定していることが違いとして挙げられます。そのため、利用の選択にあたってはこれまでに見てきたように目的や目標に合わせてどのサービスからスタートするのがよいのかを基準に判断していくことが大切です。
自立訓練(生活訓練)は入口の利用目的が多岐にわたるため、利用終了後の出口も多岐にわたるという特徴があります。すなわち、必ずしも「就労」や「復職」がゴールになるわけではありません。これに対して、就労移行支援においては入口の目的が「就労」になっていることから、出口においても(いくつかの選択肢はありながらも)主に就労が想定されます。
以上のことから、「明確な目的(就労希望)が確立されている場合は就労移行支援」「就労だけではない様々な利用目的に応じたサービスを受けたい場合は自立訓練(生活訓練)」といった判断基準が違いとして挙げられます。もっとも、事業所ごとに提供される支援(サービス)にも違いがあることから、どのような事業所を選ぶかについては事前に事業所を見学しておくことが大切です。
じっくりと考え、あなた自身のライフステージに合ったものを選びましょう。それぞれのプログラムはあなたの目指す未来に向けての重要な一歩を支援します。
■利用するためには
自立訓練(生活訓練)事業所を利用するには、行政が発行する福祉サービス受給者証が必要です。お住まいの市区町村の窓口にて、障害福祉サービスの支給申請の手続きをおこないます。
受給者証発行のための手続きには、「サービス等利用計画」の作成が必要となります。サービス等利用計画は、障害福祉サービス等の利用を希望する障害者の総合的な援助方針や解決すべき課題を踏まえた上で、最も適切なサービスの組み合わせ等について検討し、作成されます。
「セルフプラン」という形で簡易的に本人や支援者が作成することもありますが、原則は相談支援事業所を使ってサービス等利用計画を作成する必要があります。
自立訓練(生活訓練)インクの特徴
インクは、あなたのこれからの自分らしい暮らしの実現を一緒にめざします。
そのために必要な生活力を身につけることや、やりたいこと・チャレンジしたいことを応援し、自己実現に向けたさまざまな活動や選択肢を提供しています。
【インクが大切にしていること】
①ひとりひとり話をする時間を沢山つくる。
想い描く生活・やっていきたいコトは皆さん違います。
担当スタッフ制にて、個別時間を上手く使ってひとりひとり話を沢山できるように意識しています。
②将来の選択肢を一緒に考えていきたい
様々なプログラムを通して、きっと新たな気づきや得意・
不得意なこと等が見えてくると思います。
スタッフも本人の目線で振り返りを行い、今後のことを一緒に考えます。
③誰もが通いやすい場所にしたい
対人関係が苦手な方、外に出るのが
不安な方の利用も少なからずあります。
利用される全ての方にとって、
まず通いやすい環境づくりを心掛けています。
④笑顔になること 楽しさを感じること
暮らしを充実するためには、笑顔になることや
楽しさを感じることが最も重要です。
美味しい料理を楽しく作ったりお楽しみイベントをしたり、
ゲームや趣味活動なども行っています。
生活訓練インクでは、【個別で過ごす時間】【日替わりでやる集団プログラムの時間(参加自由)】が半分ずつあります。
個々の利用目的によって過ごし方も人それぞれになります。
例えば、
・就労を将来めざす方 → 作業時間や社会性を磨く時間を多く取る。
・生活でできることを増やしたい方 → 調理補助や買い物・外出練習などを行う。
・調子を整えて楽しみたい方 → 趣味探しや睡眠ワーク、自分の障害理解ワークなど
・人間関係に悩みを持つ方 → コミュニケーション練習、SST、過ごして感じたことをスタッフと日々振り返るなど
・まずは居場所が欲しい方 → 自分が楽な過ごし方をする。簡単にできる役割に参加する。交流ゲームに参加するなど
個々の希望に合わせたオーダーメイドな支援をインクはめざしています。
それぞれの違いを押さえて、自分に合った事業所を選ぶ
自立訓練(生活訓練)事業所と就労移行支援事業所にはそれぞれの強みがあるため、「○○のほうが良い」と一概にはいえません。それゆえ、まずは事業所ごとのサービスの内容や特徴をしっかりと把握をし、自分に合った事業所を選ぶことが大切です。事業所選びでお悩みであれば、見学や体験実習を通じて判断いただくことも可能です。